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美術館をつくっていく-Orsay Commonsの活動について

Orsay Commons のロゴテンプレート
どうも、おぼこです。

”美術館とソーシャルメディア”というと、美術館側が行う美術館がより広い人々に”開かれた”場であるための戦略やアイディアを想像すると思う。

でも、今回は少し視点を変えて、鑑賞者が美術館に対してアクションを起こするツールとしてソーシャルメディアの力を考えたい。

  Orsay Commons
2010中頃、近代美術作品の大御所美術館のオルセー美術館がそれまでずっと許可していた写真(フラシュなし)や映像撮影を禁止することに決めた。 補足であるが、美術館内での撮影は欧米美術館では基本許可されていて、撮影することを通して別の作品の見方を発見するワークショップが行われたり、写真を撮れることも大事な施設がオープンなプラス要素なのです。
そこで、オルセー撮影禁止決定はたちまち議論を呼びました。

もし反対の立場だったら、あなたは何をしますか?
.何もしない、仕方ない
.署名をする
....その他なにか・・・・
フランスでは、”Orsay Commons”(オルセーコモンズ)という反対派グループが結成されたのです。
彼らのミッション: ”撮影禁止の看板を完全無視して、グループで館内撮影セッションの開催”
監視の人の目を盗んだりして・・・楽しそうですよねwwやんちゃ。

これ、1人でやると怒られておしまいなんです、 そこでソーシャルメディア。 
この”オルセーコモンズ”はFacebookページ上でメンバー集め、次回に活動、アイディアシェアをしています。 みんなツイッターもやっているし、ギークなアート好きなんです。
でも、なんだかんだ、この活動に賛同していてメンバー登録してるのは現在240人以上。
Facebook page :http://www.facebook.com/groups/159498677427996/
Twitter list https://twitter.com/#!/list/juliendorra/orsaycommons

彼らの秘密撮影会大作戦の過去記録も見ることができます。
Orsay Commons #1 http://www.slide.com/r/yAdLxetu3j8o_NA_XjER12Gu3vBuHHdq
Orsay Commons #2 http://www.slide.com/r/YZnQd3Pu4D9oLf5UmeESHfkHyAz5yH6E
Orsay Commons #3 http://www.slide.com/r/ywc1L0Bn6z-GMykAAdKGla_-hgRqBZbl%C2%A0

参加している方々は、写真から見ても年齢層広く、聞くと職業も多様。美術館勤務者から学生、
デザイナーなどなど。
しかし、FaceBookで繋がった彼らはもちろん撮影会のようなちょっと過激な活動もしているけれど、 それだけでなく、国内文化施設の撮影OKか禁止かについての状況や是非や、 最終的にはオルセーの撮影許可をもう一度実現するための様々な方法を議論する場にもなっています。
オルセーコモンズをきっかけに美術館での写真撮影のあり方について真剣に考えるよなったのです。
 そんな”オルセーコモンズ”の活動は次第に知れ渡り、ついには、Monumenta 
(モニュメンタという年1度のグランパレで行われる大型インスタレーション展示)企画委員側から、 写真撮影と作品鑑賞に関して考える対話会+撮影会というイベントが実現したのです。

これは、
施設運営に反対するために始まったゲリラ活動が美術館関係者側から承認された事になる。
(オルセーではないけれど)

ひとつの大きな一歩であり、反対運動活動の実りであると個人的にかなり感動しました。

このMonumentaでの模様の写真はFlickrに、議事録(tsudaり)はTogetterにまとめてあります(フランス語)

Flickr http://www.flickr.com/photos/tags/orsaycommons/
Togetter http://togetter.com/ipage/iframe/147586


わたしは、このオルセーコモンズの話しを聞いて、普段自分がどれだけ美術館という場に対して受動的なのか気付かされました。
もっともっと美術館という場に対して求めたいものって誰しもあると思います。
ソーシャルメディアは、議論が簡単にできるような構造をつくり、
例えば美術館側と鑑賞者の交流も可能にした。

以前では考えられない程に。

ただ、議論で終わってしまう場合がほとんどなのが残念なところ。
そこから、本当に美術館を変えていくかあとは私たちの行動にかかっているのである。

*このブログ記事はイギリス在住のミュージアムについて研究しているMarlene Dixonさんのブログ内にゲストとして書かせてもらった英語記事の日本語版です。
Mar Dixon Blog
彼女は主婦でありながら、子供向け鑑賞ワークショップなどを企画したりしている方。
彼女のブログ記事はどれもとても面白いのでお時間ある方ぜひ読んでみてください。

横トリより。「関係性の美学」について。

はじめまして。早稲田大学文化構想学部2年の井ノ上薫です。
最近興味のあることについて、書いてみようと思います。


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突然ですが、バトンを、横トリ(横浜トリエンナーレ)で、受け取っています。


仕掛人は田中功起さん。彼は横トリに出品されています。

横トリ会場(横浜美術館)にあるのは、数本の映像と、畳や自転車といった映像に関係する小道具、そしてネット上で同じ映像が見られるURLを書いた紙。

1番はじめは、田中さんが自転車で旅をする映像です。
ここに写っているのは「何気ない」風景です。劇的な起承転結を求めて見ると、つかもうと思ってもつかめなくなってもどかしさを感
じます。
ここでピリッと効いてくるのが「 A painting to public」というタイトルです。inでもofでもなくto。
また、「自分が旅で見た風景」ではなく「旅をする自分」を撮っているので、誰の視点なの?という不思議な感覚になります。
かといって、全てが映っているわけではなく、神さまの視点ではないようです。


映像をもうひとつ
美容室での一場面でしょうか。複数人で一人の髪の毛を切っています。
綿密な話し合いにはじまり、こわごわと、あるいはにこにこしながらヘアスタイルを完成させていきます

これらの映像では、日常ー特に自分と周りの人々や物との関係性が示唆されているかのようです。

ところで、この作品は「いつ、どこに」あるのでしょうか?
実際に映像に映っている行為が行われているところ?
映像を見る会場?
それとも、紙に書いてあるURLで映像を見ているところ?

どれも作品と言える、逆に言えばどこまでが作品かわからないーつまり、アートと非・アートの境界が滲み、生活へ作品が染み出してきています。
例えば横トリの会場(横浜”美術館”)にあるのも過程です。それはその時その場でまとまり固まることはありません。
その作品は、受け取った人がそれぞれ成長させます
帰ってから再びネットで見ても(見なくても)よし、いつどこで誰と見てもよし。
作品を種に友だちと話すのもよし。

ここで起きているのは、受け手が作品を作るという転倒です。
作品は、周りを巻き込みながら育ち続けます。





1998年、フランスのキュレーター、ニコラ・ブリオーは『relational aesthetics』という本を出しています。
日本語で言えば、「関係性の美学」。
例として挙げられているのが、
リクリット・ティラバーニャの、ギャラリーに来た人に料理をふるまい一緒に食べるという作品。
物ではなく、過程やその中で生まれる関係性へ光が当たっています。
これはどこか田中さんの作品との関連がありそうです。

(ちなみにですが、『relational aesthetics』はもうすぐ日本語訳が出るはずです。
また、「関係性の美学」に対して『表象5』にクレア・
ビショップ「敵対と関係性の美学」のが、『美術手帖』2011年4月号に大森俊克さんの「リアム・ギリックと『関係性の美学』」が掲載されています。
これらの論に対しても、一部では「政治的側面に限定されすぎているのではないか」という疑問が提出されているようです。
何はともあれ、多くの人が関係性の美学に関心を持っていることがわかります。)


さて、アートに限らない話をします。
日々生きていく中では、目的の達成こそが目的なのでしょうか?
それではいつまでも「実り」が先延ばしにされてしまうのではないでしょうか?

そのような問いを田中さんの作品ーあるいは「関係性の美学」の光の当たる作品は発しているようです。

一方で、目の前がいくら輝いていても、先を見ようとしない場当たりの生活では不安は消えません。
ではどうすべきなのでしょうか?



ということで、受け取ったバトンはもう次へ繋ぐことができたようです。

もちろん、ここでリレーを止めてもかまいません。
また、このバトンは、いつでも、どこでも、誰にでも、何回でも何人にでも繋ぐことができます



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美術館に興味のある皆さんは、これをどう受け止めますか?
とっても気になります。

第3回勉強会のお知らせ

第3回アート・ミュージアム勉強会の詳細をお知らせします。

今回の内容は、
【アート・ミュージアム系書籍持ち寄り、ビブリオ・バトル】です

画集・論文・調査報告・書籍・絵本 etc.なんでも一番おすすめしたい
アート・ミュージアム関連の書籍を5分で紹介してください。

<ルール・進行>
お気に入りの本を持って集まる!
順番に一人5分で紹介する!(+2~3分のディスカッション)
「どの本を一番読みたくなったか?」で投票を行い チャンプ本 を決める!

・複数の本を背景にして,一冊を紹介するのはありです
・ノートPCでプレゼンを見せる、資料を見せながら紹介をするのはあり、
ただしレジュメ・プレゼンの配布はしなでライブ感を大切にする事が原則

参考: 知的書評合戦-ビブリオ・バトル

【第3回アート・ミュージアム勉強会】
日時:9月25日(日)14:00-17:00 @東京外国語大学本郷サテライト
参加人数により変動施設利用費(600円程度)
〒113-0033 東京都文京区本郷2-14-10
都営地下鉄大江戸線: 本郷三丁目駅(E08) 5番出口下車徒歩4分


*参加は以下のボタンからおねがいします。

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お会いできるのと、面白い本との出会いを楽しみみにしています。